朝起きると、窓から真っ白に雪をかぶった高知城が見えた。この日の高知市内の積雪は6cm。1987年に観測史上最多の10cmを記録して以来の大雪だったそうだ。
近所の小さなお堂の軒にはツララまで下がっていて風情たっぷり。そういえば、お城では紅梅がほころんでいた。きっとアマチュアカメラマンが、たくさん詰めかけているだろうなあ。
この日は、メルがセラピードッグになれるかどうかをチェックしてもらうために、動物病院に連れていく日でもあった。でも、昼ごろになっても雪がチラチラ舞ってるし、なんとなく気が進まず、2、3日遅らせてもらおうと先生に電話をする。
「先日見学させていただいた○○です。今日犬を連れて行くと申し上げていたんですが…」
「ああ、大丈夫ですよ。お待ちしてます」
「では、2時ごろに…」
ありゃりゃ~。なぜか話の勢いで行くことになってしまった。
あらためてドキドキしてくる。といっても面接が心配なのではなくて、メルを車に乗せて運転するのがドキドキなのだ。
メルは最近でこそ車酔いしなくなったけれど、私一人で乗せるのは6年ぶり。その6年前に初めて車に乗せたときには、5分も走らないうちに、吐くわ下痢をするわで、それでなくとも運転の下手な私はすっかり動転し、頭の中は真っ白。よくぞ事故をおこさずに済んだものだ。
以来、一人では心配で、乗せたことがなかった。でもいつまでもそれじゃあ、不便でしょうがないので、面接には絶対に車で行こうと決めていたのだ。
果たして、メルが入ったキャリーを車に乗せて走り出したとたん、「ピーピーキューキュー」と哀れな声で鳴き始めた。信号で止まるとなぜか声も止まり、走り出すとまた始まる。
走り続ける時間が長くなると、だんだん「ハーッ、ハーッ」とへんな喘ぎ声まで混じってきて、気が気ではない。
なんとか、吐かずにがんばってくれたけど、たった30分の距離が、1時間近くにも感じられた。
動物病院では、持参したウンチに寄生虫がないかを調べ、心音と口の中のチェック。そして肛門から便を摂られた。
先生は、「口をさわっても怒りませんか」と言って歯を診て、次にメルを抱っこすると、「性格的にも大丈夫みたいですね。便の培養の結果が出たら活動に参加していただいていいですよ」とあっさりOKをくださった。
他の人や動物に対する反応も見たりするのかと思っていたので、ちょっと拍子抜け。でもまあ、犬よりなにより、まずは飼い主がちゃんとルールを守って、活動に参加できるかどうかが一番重要なんだろうね。
ともあれ、これで、次はセラピードッグデビューを待つばかり。なんだかまたドキドキしちゃうなー。かわいくしていったほうが、お年寄りの方も喜んでくれるから、お洋服も新調しちゃおうかなー。へへへ~。
そうそう、帰りの車の中では、メルはほとんど鳴かずにおとなしくしていた。ひょっとしてメルさん、あんたは私の運転が信用できなくて鳴いていたの?