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メルと歩けば

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磯田ワールドにどっぷり



映画で『武士の家計簿』は見たけれど、原作者の磯田道史さんのことは全然しりませんでした。
ところが、たまたまテレビで磯田さんが「古文書ハンター」として紹介されていて、
「古文書は決してかび臭い過去のものではない。
その時代に生きた人々の声をみずみずしく伝えてくれるものです」
なんてことをおっしゃるのです。
古文書がみずみずしい? と、その一言にぐっと心をつかまれ
猛烈に著作が読みたくなってしまいました。

最初に読んだのが『無私の日本人』。
3つの物語が収録されていて、そのうちの一編が
『殿! 利息でござる』というタイトルで映画化されています。
さびれていく宿場町を立て直すために、
商人たちが藩主にお金を貸して、その利息で町を救おうとする物語で、
商人たちが一家離散も覚悟で、無私に徹して奮闘する姿には胸が熱くなります。

すごいのは、この物語が古文書を丹念にひもといて書かれた
”本当の実話”だということ。

これまでにも実話とされる歴史上の人物の伝記や人情話は読んだことはあります。
それなりに感動するのだけど、
どれもかなりの部分が著者の創作だろうなーと思えて、
本の中の人物が、自分と地続きの世界に生きていた人とは感じられませんでした。
それが、磯田さんの本を読んでいると、何百年の昔に生きた人たちが
血の通った人間として感じられてくるんです。

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そんなわけですっかり磯田ワールドのとりこです。
今日は『江戸の備忘録』『龍馬史』『武士の家計簿』を購入。
『武士の家計簿』は図書館でも借りたけど、
ページを開くと時折ぱらぱらとゴミが落ちてくるのに嫌気がさし、
なおかつ、お気に入りの本はやはり手元に置きたいと思って買ってきました。

『殿さまの通信簿』もめちゃくちゃ面白かった。
70人も子供をつくった岡山藩主の実像に迫ったり、
加賀前田家が、豊臣方でありながら、
徳川の時代になっても日本最大の大名であり続けることができたのは何故か
その謎解きをしてみせたり。

随所に古文書の記述を引用しながら
思わず「へえ!」と言いたくなるようなエピソードがちりばめられていて
時間を忘れて読みふけってしまいました。

ちょうど、司馬遼太郎の『街道をゆく~本郷界隈」を並行して読んでいたら、
こちらにも加賀前田家の話が載っていて、
磯田さんの話とはちょっと違う。
司馬さんがご存命なら、このお二人の対談を見てみたかったなあと思ったのでした。

もう一つ、磯田本の大きな魅力を書き忘れていました。
それは、どの著作にも一貫して、著者の温かなまなざしが感じられること。
たとえば、忠義の家臣を自己の保身のために見捨てた家康を「ずるい」と断じた後で
後に家臣の子に四万石を与えたエピソードを書き加え
「(家康は)ずっと『すまぬ』と思っていたのであろう」と結ぶ。
そんなふうだから、読後感がすごくいいのです。

歴史を知るって、なんて面白いんだろう。
磯田さんの本に出合って、初めてそう思いました。


by mell1999 | 2016-10-05 16:05 | 雑感 | Comments(4)
Commented by とことこ at 2016-10-06 15:47 x
面白そうだなと思っても、大人になってからなかなか
読書しないままです。
映画とかになるとついそちらを見てしまいます。
老眼も出てきて、文字がちらちらします(涙)
武士の家計簿は私も買いましたが、最初だけしか読みませんでした(^_^;)
紙というのが、いいのだと思いますが、ちょこっとした時間の隙間にみるのは、キンドルなどが便利かなと思ったりします。
そらまめさんのおすすめなら読んで見ようかと思います。
武士の通信簿っていうのはおもしろそうですね。
Commented by 1go1ex at 2016-10-06 16:53
私は映画「武士の家計簿」と「殿! 利息でござる」を見て、
最近になって『無私の日本人』という本を買いました。
まだ読んでないんです。
この本、タイトルに心を惹かれて買いました。
一部だけが「殿! 利息でござる」の登場人物を扱っているんだと思っていました。
映画の原作だとは知らなかった。
それでも早く読みたいわ。
『殿様の通信簿』も面白そう。
磯田さんの「温かなまなざし」、私も同じように感じています。
Commented by mell1999 at 2016-10-06 21:05
>とことこさん
「武士の家計簿」は今読んでますが、
これまで読んだ磯田さんの本の中では
ちょっと読みにくい感じです。
「殿さまの通信簿」は気軽に読めてお勧めです。
私の好きな下世話な話が満載です!
最近は私も老眼と目の疲れがひどくて
本を読むのはちょっと辛いです。
それなのに編み物なんかしちゃって、
ますます疲れてます~。
Commented by mell1999 at 2016-10-06 21:11
>わびさびさん
省略しちゃいましたが、「無私の日本人」は
おっしゃるとおり、3つの物語がかかれてます。
どれもおもしろかったけど、やっぱり「利息でござる」
の原作が一番印象深かったです。
本を読んでると、磯田さんのお人柄が感じられますね。
講演会があったら行ってみたいななんて思ってますが
今は超多忙なんでしょうね。