西宮にいたときは、冬でもメルに服を着せることはめったになかった。「犬が服を着てる~」なんて子どもに指さされたりして、こっぱずかしかったのだ。
なのにこの冬は、ほとんど連日服を着せて散歩にでかけている。もちろん高知では西宮以上に服を着た犬は目立つわけで、毎日のように「犬が服着ちゅう」って言われている。でも、そのあとで、なんだかんだと話しかけてきてくれるものだから、これがけっこう楽しいのだ。
犬を飼う人には、二種類あるんじゃなかろうか。一つは飼い主ひとすじで、他人にはシッポをふらない犬を「飼い主冥利につきる」と思う人。もう一つは、誰にでもなつく犬を好む人だ。
私はもちろん後者。通りすがりの人が、「かわいいわねー」と言ってメルに手を差し出して、メルがうれしそうにシッポを振っているのを見るのが、実はなにより楽しい。
「メル、かわいがってもらってよかったね、うれしいねー」なんて言いながら、私にシッポがあったらきっと、メル以上にブンブン振り回していることだろう。
以前は、私に声もかけずにいきなりメルをさわろうとする人がいると「何よ、マナーを知らない人ね」なんて思ったけど、最近はそういう人だってウェルカム~。
近づいてきたら、すかさずこちらから、「こんにちはー」なんて声をかけて、おしゃべりしてしまう。ま、ようするに、私のおばさん度が上がって、誰とでも平気で話せるようになったってことよね。
そんなわけなので、ハピネスドッグさんにメルの新しい服を作っていただいた。メルの誕生日のプレゼントだ。
といっても、メルは服を着せられるのは好きじゃないみたいで、あいかわらず着せるときにはガウガウと文句を言っている。それでも着てしまえばとくに気にするようすもなく、最近は「服を着る=お散歩」と思っているみたいだ。
子犬のころは、服を着せると食いちぎろうとしていたのになあ。なんだかなつかしい。