同じ植物でも、植えつける鉢によってがらっと印象が変わります。オリーブの木だって、和鉢に入れると、それだけで盆栽っぽくみえますよね。
でも、ホームセンターなどでは、ほとんど売られていません。仕方なくネットで買っていたんですが、2年ほど前から、以前住んでいた家の近くのお店に買いに行くようになりました。そこに住んでいた時には、盆栽にはまるで興味がなく、お店の前も素通りだったのに、今頃になってわざわざ車で買いに行くんだからおかしなものです。
そのお店は、和鉢専門店で、手頃な値段の鉢がごろごろ置いてあって、気軽に買えるのがありがたいんですが、店主のおじいさんがちょっと変わってます。
いつも薄暗い店の片隅に無表情に座っていて、「これください」と鉢を持っていくと、「え~と、これが○○円で、これが○○円…。足したらいくらや? あんた計算して」と電卓を差し出され、自分でお釣りまで計算して支払わないといけません。
そして「そこに新聞紙あるから、それで包んで」とビニール袋を渡され、これまた自分で鉢を包んで、持ち帰るんです。自分で包まされる理由がふるってます。「もし途中で割れても、包んだあんたの責任やで」というわけ。
まったく商売気なし。しかし、あまりに商売気がなさすぎて、かえって気楽にのぞけるものだから、ちょくちょく買いにいくんです。もちろんおじいさんは、何度行っても私の顔なんて覚えていません。
今日も、植え替え用に鉢を買おうと出向いたら、これまで雑多においてあった鉢が、値段ごとに分けられて、かごに入って置かれています。あれ? 代替わりしたのかなと思ったら、案の定、店にいたのは息子さんのお嫁さんらしき女性でした。
ついに亡くなったのかと「いつものおじいさんは?」と聞いてみたら、「年なので半分隠居してます」と。さすがにこの女性は愛想の良い笑顔でちゃんと鉢を包んでくれましたが、実をいうとちょっと拍子抜け。
ほんまにしょうがないジジイやなあ、と心の中で毒づきながら、電卓たたいたり、新聞紙で包んだりするのを、私もちょっと楽しんでいたんだなあと思います。やがておじいさんが亡くなっても、このお店はたたまないでほしいなあと願うばかりです。
それで、今日買ったのがこの2つ。同じような鉢に見えるけど、右は左の5倍近い値段がします。
いったい何が違うのかというと、とりあえず、右の方がずっしりと重い。でもって、裏に「伝」と銘が入ってました。
こうして写真で見るとほとんど変わりませんね。左のを2個でもよかったような…。
右側にはハナシノブ、左側にはコバノズイナとカワラナデシコあたりを寄せ植えする予定です。